レアアースの用途 -1

31種類あるレアメタルの中で17元素を占める一つのグループであるレアアース。「レアアースとは?」で概要をみてきましたが、今回はその用途を見ていきましょう。他のレアメタルにない光学的特性や磁気的特性をレアアースは持っていました。

レアアース全体としての用途としては、年間生産量13万トン(2010年時点)と言われる内訳として多いものから永久磁石、金属合金、触媒、研磨剤、ガラス、蛍光体となっています。

代表的な用途

以下に代表的な用途をみていきましょう。

永久磁石

これは、レアアースと3d遷移元素との化合物が持つ一軸方位性を利用したもので、ネオジウム(Nd)を使用したネオジム磁石が代表的で、最強の超強力磁石として知られています。ネオジウム(Nd)、鉄(Fe)、ボロン(B)、ジスプロシウム(Dy)で構成され、強力マグネットとして文具や工具などの日用品からHDDや携帯電話、PMモータの回転子など幅広く使われています。ジスプロシウム(Dy)はネオジム磁石の熱減磁(温度が上昇すると磁力が低下する)を抑えるために添加されています。鉄を多く含み錆びやすいことからニッケルコーティングされていることが一般的です。

金属合金

レアアースが使用される主な金属合金の用途として水素吸蔵合金が挙げられます。これは、金属が水素を取り込む(吸蔵する)性質を利用しているもので、水素を吸蔵しやすいレアアース(セリウム(Ce)、ランタン(La)やミッシュメタル(レアアースの混合物))に水素を吸蔵しにくい金属(代表的なものにニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al))を組み合わせ適切な水素の吸蔵、放出を可能にした合金です。この水素吸蔵合金の主要な用途の一つが二次電池のニッケル水素電池で、ノートパソコンのバッテリーやハイブリッドカーの電源、充電式乾電池など幅広く使用されています。

研磨剤

レアアースの中で研磨剤の代表格がセリウム(Ce)です。セリウムの酸化物である酸化セリウム(Ⅳ)は、研磨剤として自動車のフロントガラスの油膜クリーナーやレンズの研磨剤などの日常的な使われ方から、ディスプレイのガラス基板や半導体の製造工程でのCMP工程で使われるスラリーとして幅広く使われています。これは、酸化セリウム(CeO2)がガラス/酸化シリコン(SiO2)が化学的に反応しセリウムとシリコンの置換が起きることと、酸化セリウムの硬度で機械的に表面を削る双方の働きによるもので、結果としてガラスが研磨されていくという効果が得られます。半導体の製造工程ではCMP(化学的機械研磨、Chemical Mechanical Polishing)は配線工程で欠かせないプロセスとなっています。

 

他にも光学的な特性を利用したLEDなど欠かせない用途があります。それらについては、次回みていきましょう。

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